定額減税と労働基準法24条の罰則について
2024年7月01日

いつもお世話になっております。税理士法人We will 税務事務局です。

税理士試験まであと40日ほどとなりました。私の所にも受験票が届き、頑張らなければという気持ちになっております。

さて、6月から定額減税の制度が始まっています。給与所得者の方は、6月以降に支給される給料や賞与から限度額に達するまでの金額を一括又は順次控除されることとなり、手取り額が増えるうれしい制度となります。

定額減税は、給料計算の事務の増加など、様々な負担があると思います。

今回の定額減税は、基準日に在職している従業員に6月1日以降に支払いをおこなう給料や賞与の源泉徴収税額から月次控除を行う必要があります。もし行わなわず、年末調整に一括して行っても罰則規定はありません。

しかしながら、労働基準法24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」とされていて、「法令に別段の定めがある場合においては、その一部を控除して支払うことができる。」とされています。

給料からの所得税の源泉徴収については、「別段の定め」に該当するため、毎月の給料から控除して支払うことが認められますが、今回の定額減税による減額分を控除せずに支払ってしまうと、「別段の定め」により「その一部を控除して支払うことができる」金額より多く控除して支払ってしまうことになり、「その全額を支払わなければならない。」に抵触してしまう可能性があります。こちらは、30万円以下の罰金となっています。

今回のように、所得税法上は罰金がないが、労働基準法上は罰則があるような法律によって取り扱いが違うことが少なからずありますので、注意が必要となります。