賃上げ促進税制
2024年9月10日

お世話になっております。税理士法人We will 税務事務局です。

今回は、賃上げを行う企業を支援する「賃上げ促進税制」の改正点について紹介いたします。この税制は、企業が従業員の賃金を一定割合以上引き上げた際に、法人税額の一部を控除することで、賃上げを促進する仕組みです。

中小企業では、前年度比で賃金総額を1.5%以上又は2.5%以上増加させることで、全雇用者の前事業年度から適用事業年度の給与等支給額の増加額の15%~30%が控除されます。また、改正前は教育訓練費が前年度比10%以上増加していなければ上乗せ措置が受けられなかったのに対し、改正後は前年度比5%以上の増加で10%控除の上乗せが受けられることとなりました(教育訓練費≧適用年度の全雇用者給与等支払額×0.05%である場合に限る)。

加えて、要件を満たす中小企業は税額控除を5年間にわたり繰り越すことができる措置が追加されました。企業が賃上げを実施した年に控除しきれなかった税額については、翌年度以降最長5年間にわたって繰り越すことが可能です。これにより、賃上げを行っても当該年度の法人税額が少ない場合でも、翌年度以降の利益に対して繰り越し控除を適用できるため、企業の財務負担を長期にわたって軽減できるメリットがあります。

今回の改正では、賃上げだけでなく、従業員のスキル向上にも目を向けています。教育訓練費の増加が税額控除の条件に含まれることにより、企業が賃上げと同時に従業員への投資を促進し、企業全体の競争力向上を目指す構造になっています。

賃上げ促進税制を適用するには、賃金総額や教育訓練費の増加を証明するための適切な書類管理が必要です。さらに、税額控除を5年間繰り越す場合も、記録を正確に行い、控除申告を適切に進めることが求められます。

税理士法人We willでは、賃上げ促進税制に関するサポートや、税務申告手続きのアドバイスを行っております。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください

 

参考資料

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushinzeisei2024.pdf

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