経営セーフティ共済の改正について
2024年9月30日

税理士法人Wewill 税務事務局です。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)とは、取引先の倒産時に連鎖倒産を防ぐために、掛け金の最高10倍(8,000万円)まで不担保・無保証で借り入れができる制度です。毎月の掛け金は5,000円から200,000円の範囲内で自由に設定することができ、解約時には掛け金が解約返戻金として戻ってくることになります。

掛け金を支払った時に全額経費にでき、さらに掛け金の支払期間が12ヵ月以上であれば8割超、さらに40か月以上であれば全額解約返戻金として戻ってくる制度となりますので、非常に使い勝手が良く、経営セーフティ共済に加入されている会社さんは多いのではないでしょうか。

今回、2024年3月に所得税法等の一部を改正する法律が成立し、経営セーフティ共済掛金の税務上の取り扱いについて規定している租税特別措置法第28条及び第66条の11が改正されました。その結果、令和6年10月1日以降に共済契約を解約し、再度共済契約を締結(再加入)した場合、その解除の日から2年を経過する日までの間に支出する掛け金については、必要経費又は損金の額に算入できないこととなりましたのでご留意ください。

制度が改正された理由としては、「短期間で脱退、再加入が繰り返されている」ことが挙げられています。中小企業庁の資料によると、掛け金積立限度額が320万円から800万円に増額された2011年10月以降、本来の目的である共済金貸付けの発生が減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増していたとのことです。特に、解約返戻金の支給率が掛け金の100%となる加入後3,4年目での解約が多く、しかも、再加入する事業者が加入者全体の約16%にのぼり、さらに再加入者のうち2年未満に再加入する者は約8割を占めるようです。

このような脱退・再加入は、積立額の変動で貸付け可能額も変動することになるため、中小企業庁も「連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではない」と指摘しており、短期間での脱退と再加入についてこの度、制限が設けられたわけです。

今後は経営セーフティ共済の解約や再加入はより計画的に行う必要があるため、相談又はお困りの際は税理士法人We willにぜひお問い合わせください。