インボイス制度による鉄道交通費の取扱いについて
2023年6月01日

税理士法人We will名古屋事務所の荒明です。
2023年10月からスタートのインボイス制度ですが、消費税の課税事業者・免税事業者問わずすべての事業者に影響があり、早めの対応が必要となります。実務において取扱いが多いと思われる鉄道の交通費についての注意点を下記にまとめました。
インボイス制度では、3万円未満の公共交通機関(バスや鉄道、船舶)による旅客の運送はインボイス(適格請求書)の交付が困難な取引として、交付義務が免除されています。これを公共交通機関特例といいます。例えばバスの運賃210円は、適格請求書の交付が免除される取引ですから領収書が無くても仕入税額控除ができることになります。この場合、会計帳簿への記載は通常の帳簿への記載事項に加え「3万円未満の鉄道料金」と記載する必要がありますのでご留意ください。
この3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、1回の取引の税込金額が3万円未満かどうかで判定します。例えば新大阪―東京間の新幹線の大人運賃が13,000円の場合、1人分の購入でしたら領収書(適格請求書)が無くても仕入税額控除できますが、4人分をまとめて購入した場合52,000円(13,000円×4)で判定することになるため、領収書(適格請求書)が無いと仕入税額控除ができなくなりますので注意か必要です。
また、特急列車に乗車するために支払う特急料金や寝台料金は、旅客の運送に直接的に附帯する対価として、公共交通機関特例の対象となりますが、入場料金や手回り品切符の購入については旅客の運送に直接的に附帯する対価とは見なされないため公共交通機関特例の対象とはなりません。よって仕入税額控除を行うためには領収書(適格請求書)が必要となり窓口等で適格請求書を交付してもらわないといけませんのでご注意ください。
インボイス制度の対応についてお困りの際は税理士法人We willにぜひお問い合わせください。